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2010年SAGES(アメリカ内視鏡外科学会) ワシントンD.C.

ちょっとご報告が遅くなりましたが、4月に毎年恒例のアメリカ内視鏡外科学会に参加して、発表してきました。会場の写真や旅行顛末はブログをみてください。ここでは、学術的な話を・・・

昨年はSILSが大きな話題になりましたが、今年は昨年に比べると正直いってちょっと盛り上がりに欠ける内容だったと思います。アメリカでも内視鏡外科はすっかり安定した領域となり、次なるイノベーションが必要だと感じました。そして恐らくそれは体にまったく傷を残さないNOTES手術になるのだと思います。巽病院土曜の外科外来に後輩の大阪大学消化器外科 中島清一先生が来られています。彼はNOTESの分野では日本を代表する研究者かつ外科医です。巽病院外科はこのように先進的な考えをもつスタッフで実はやっているのです。

巽病院手術室改修工事

巽病院では4月末から5月半ばまで手術を完全に閉鎖し改修工事を行いました。従来の手術室を改修しましたが、今後さらに工事を並行して行い、さらにもう一つ手術室を増設します。新設される側の手術室は、内視鏡手術適応の手術台や最新の電気メスを設置し、さらに内視鏡手術用のモニターも天井からの吊り下げ式を採用するなど、最新の外科手術室となる予定です。いままでは整形外科の手術日は外科の緊急手術もお断りせざるを得ないことがあったのですが、完全に完成して2室体制になる7月中旬からはそのようなこともなくなります。

麻酔科常勤医着任

いままでは手術の麻酔を非常勤の先生方にお願いしていたのですが、4月1日からベテランの廣瀬卓治先生が巽病院に着任されました。技術的にもお人柄も優れた先生です。廣瀬先生にご協力いただいて、いままで以上に患者さんの状態に合わせたきめの細かな外科手術を実践したいと考えています。

最近の手術創閉鎖法

昔は手術の傷といえば糸で皮膚までしっかり縫っていたものです。これはしっかりと縫える反面、糸で締め付けられた皮膚の血流が悪くなり瘢痕となります。よくお風呂屋さんで「ハシゴのような傷をもった方を見かけますね。その後簡便さと傷の綺麗さのためにステープラーと言われるホチキスみたいなもので傷を閉じるようになりました。ただこの場合も皮膚を貫いて異物で閉じているので表皮の雑菌が入ったり、傷の痛みが続いたりします。

巽病院では傷がなるべく綺麗に、そして痛みが少ないように2009年後半から吸収糸を使って真皮のみに糸をかけて縫合する真皮縫合法を採用しました。この方法ではいわゆる抜糸はひつようありませんし、理想的な創傷治癒がおこるため、驚くべき事に創感染(傷が化膿する)がほとんど起こらなくなりました。

2009年 巽病院手術件数

病院のホームページにも載せましたが、2009年の手術件数は150例を越え、うち全身麻酔の手術も約100例となりました。特に腹腔鏡手術は前年と比べて倍増しています。さらに最新の外科手術を地域の皆様に提供していきたいと考えています。

Single Incision Laparoscopic Surgery

SILS手術-へそからの腹腔鏡下手術-は、2009年春、アメリカ内視鏡外科学会にて大きな話題となり、日本でもそれ以降いくつかの先進施設で行われるようになった手術です。

従来の胆石症、胃癌、大腸癌等に対して行われている腹腔鏡手術は、直径10mmや5mmの筒(トロッカーといいます)を3-5本お腹に挿入して、そのうちの1つより腹腔鏡をお腹にいれて、ほかのトロッカーから様々な器械をいれて行う手術です。これだけでも大きくお腹を切開する開腹手術に比べると、かなり創も小さく、低侵襲なのですが、最近、お臍を切開して2cm程の創を作り、そこから腹腔鏡をふくめすべての器械をいれて行うSingle Incision Laparoscopic Sugery (SILS)が開発されました。

この手術では、創はお臍の中ですので、術後は全くお腹に創がないかのようになります。まだまだ胃癌や大腸癌などの複雑な手術は無理ですが、炎症や癒着のない胆石症、急性虫垂炎などはこの手術が十分可能だと思われます。特に女性には創がほとんど目立たないので、適しているのではないかと思われます。先日この手術を開始し、胆石症の患者さまにさせていただきました。

鼠径ヘルニア手術

以前から鼠径ヘルニア手術にメッシュプラグという補強剤を用いていましたが、2009.8からよりコンパクトで、かつ半分は吸収糸で作られたメッシュを使った術式に変更します。欧米でのデータではこれまでのメッシュプラグと比べて術後の異物感が少ないようで、日本では今年の春に認可されています。

消化器外科学会2009(大阪)

7月には大阪で消化器外科学会があり参加してきました。今年になって創を一つですませるsingle port surgeryという手術が話題になっています。患者さんの体の傷はほとんど目立たなくなるのでいいのですが、さらに高度な腹腔鏡手術のテクニックが必要になります。巽病院でも準備を徐々に進めていこうと考えています。

外科学会 2009(福岡)

4月2-4日福岡であった109回日本外科学会でビデオ発表してきました。自分の専門領域以外では鼠径ヘルニア手術の現状、胃癌の腹腔鏡下手術等のセッションを聞いてきました。手術用の器械や縫合糸などもどんどん進歩しています。いままではアメリカで開発・発売されても日本に入ってくるのは1年以上かかっていましたが、最近はほとんど同時に認可されるものも増えてきました。

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